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第104回学術集会(平成14年10月19日(土),20日(日))
【一般演題】
胎盤の異常 常位胎盤早期剥離を疑わせた臍帯卵膜付着の1例
藤江 裕美, 菊谷 真理子, 斎藤 糧三, 斎藤 恵, 吉松 和彦, 松島 隆, 石原 楷輔, 荒木 勤
日本医科大学産婦人科
臍帯卵膜付着は分娩前の診断は困難で,子宮内胎児発育遅延,前置血管を合併した場合分娩時異常出血をきたすことがある.その場合破水と共に持続性の出血が始まり,時に児に致死的な影響を及ぼすことがある.今回我々は異常性器出血にて入院管理し,分娩後臍帯卵膜付着であった症例を経験したので報告する.症例は30歳2回経妊1回経産.既往歴,家族歴に特記すべきことなし.中隔子宮にて不妊症治療を施行,IVF-ET施行後,妊娠成立した.今回妊娠中,切迫流早産にて3回入院管理となった.妊娠32週6日,中等量性器出血にて外来受診.内診所見は子宮口指尖挿入,NSTにて2分毎の子宮収縮を認め,胎児心拍は良好であった.切迫早産と診断し,安静及び塩酸リトドリン持続点滴にて入院管理となった.入院時経腹超音波検査にて前置胎盤,低置胎盤の所見はなかったが,胎盤実質とやや離れた部位に血腫像を認めた為,常位胎盤早期剥離を疑い厳重管理となった.その後性器出血は減少してきたが腹緊は増強,34週4日破水,早産となった.1704g女児,Apgar score 9/10であった.児娩出と同時に10x10cm大の血腫も娩出した.胎盤所見,臍帯は卵膜付着であり,その周囲に6×6cm大の血腫が付着していた.血腫の原因血管は不明であるが,臍帯の卵膜付着部位周辺の血管が破綻し,異常出血,血腫像になったと考えられる.以上より,今回我々が経験した臍帯卵膜付着の1例を文献的考察もふまえ報告する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(3)
293-293, 2002
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