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第104回学術集会(平成14年10月19日(土),20日(日))
【一般演題】
統計 自然流死産332例中の染色体異常の検討
永石 匡司1), 山本 樹生1), 飯沼 和三2), 下村 勝則3)
日本大学産婦人科1), 愛児クリニック小児科2), ジェンザイム・ジャパン株式会社3)
我々は,流死産胎児組織標本を対象とした染色体分析のデータをprospectiveに蓄積し,その内容を分析した.1995年3月より2002年3月までの期間に分析のために提出された検体は総数332例で,培養成功率は86%,染色体異常検出件数は163件(57%)であった.実際に検体の提出から検査結果の報告までの所要日数は平均14日であった.分析の結果,単純なトリソミー異常が101件(62%)と最も高い頻度を示した.内訳は上位順に,16トリソミー(27件),18トリソミー(13件),21トリソミー(12件),22トリソミー(11件),13トリソミー(10件),15トリソミー(7件),8トリソミー(5件),4トリソミー(5件)であった.更に性染色体異常としては,45, Xが19件,三倍体以上が23件であった.一方,妊娠週数との関係を検討すると,16トリソミーはすべて12週以下の症例であるのに対し,18トリソミーはすべて14週以降の流産であった.また不均衡型転座染色体の症例は10件あり,そのなかで夫婦の染色体検査を施行した結果,異常が発見された例もあった.この夫婦に対しては遺伝相談により,次の妊娠時における染色体異常発生頻度についての予測データを提供するに至った.一般妊娠における自然流死産の確率は15%前後とされているので,こうした科学的な解析を流死産胎児組織について実施することは,臨床上重要なことと考える.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(3)
294-294, 2002
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