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第104回学術集会(平成14年10月19日(土),20日(日))
【一般演題】
胎児・新生児1 胎児片側性水頭症の一例
櫻井 麻美子1), 崎山 ゆかり1), 佐藤 伊知朗1), 永井 宣久1), 持木 昭人1), 大久保 喜彦1), 寺本 勝寛1), 山本 樹生2)
山梨県立中央病院周産期センター母性科1), 日本大学産婦人科2)
【はじめに】先天性水頭症の発生頻度は1,000出生に0.3〜4.2人であり,片側性は極めて稀である.原因は原発性あるいは腫瘍・炎症による続発性の片側モンロー孔の狭窄または閉塞とされている.今回我々は妊娠30週より管理した片側性水頭症の1例を経験したので報告する.【症例】22歳未産婦,近医にて初期より妊娠管理され,妊娠29週で非対称性の胎児脳室拡大を認め翌週当院を紹介受診,30週6日精査目的に入院管理した.超音波断層検査で左側脳室の拡大(左>右=33mm>4mm)を認めたが合併奇形なく,胎児発育や羊水量は正常範囲であった.MRIでは左側脳室,三角部,後角の拡大があり,頭蓋,脊椎には異常を認めなかった.胎児心拍モニターに異常なく,羊水染色体検査は正常核型(46XY)であった.経過とともに左側脳室の拡大著明となり,36週5日児頭骨盤不均衡の適応で帝王切開術を行った.児は2,428g男児Apgar 10点.身長45cm,頭囲35cm,胸囲29.5cm.出生後の呼吸,循環動態に異常なく,外表奇形も認めなかった.NICU入院とし,左モンロー孔の閉鎖を疑い日齢8にV-Pシャントを施行した.術後の全身状態,発育は良好で外来管理となった.現在までにシャントトラブル等の合併症はみられていない.【結語】水頭症の予後不良因子には合併奇形,神経系の著明な奇形,著しい胎児発育障害,高度の大脳皮質形成不全,小頭症,水頭症診断後の胎内期間の長さがあげられる.今回の症例は発見からVPシャント施行まで約8週間であったが,他の予後不良因子は認められなかった.片側水頭症に関しては報告症例がほとんどなく極めて稀な例と考え報告する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(3)
300-300, 2002
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