|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第104回学術集会(平成14年10月19日(土),20日(日))
【一般演題】
胎児・新生児1 妊娠21週にて診断された胎児水頭症の一例
穴山 玲子, 齊藤 俊雄, 向田 一憲, 佐川 泰一, 林 敏, 鈴木 康伸, 清川 尚
船橋市立医療センター産婦人科
【はじめに】先天性水頭症の頻度は10,000例に2〜4例という稀な疾患である.また,中枢神経系の異常の多くは母体に特別な症状をきたさないため,妊娠末期まで気がつかれない事も少なくない.しかし近年画像診断の目覚ましい発展に伴い詳細な出生前診断が可能となってきている.今回,胎児超音波,高速撮像胎児MRIにて出生前胎児診断が可能であった胎児水頭症を経験したので若干の文献的考察を加え報告する. 【症例】26歳,初産婦.妊娠21週,妊婦健診時の超音波検査にて胎児発育は正常でBPDも56mm大と正常範囲内であったが,著明な脳室の拡大を認めた.側脳室幅と大脳半球幅の比(LVW/HW)は0.9と側脳室の拡大は高度であった.MRIでは側脳室の拡大を認め,脳幹部・小脳は比較的正常である事より中脳水道の狭窄が疑われた.厚生省“難治性水頭症”調査研究での先天性水頭症の分類とその治療予後PCCH(perspective classification for congenital hydrocephalus)を参考に患者さん家族に十分なインフォームド・コンセントを行い外来経過観察していたが,妊娠23週突然の胎児死亡を認め,胎児娩出を行った. 【結語】胎児水頭症の評価は客観的画像診断も難しいとされているが,異常がある場合でも出生し,V-Pシャント術等の減圧術で良好な結果も報告されている.妊娠20週前後の診断は,妊娠の継続あるいは中断という胎児の生死がかかわる非常に重大な時期の診断となり,胎児診断と長期予後については,今後多くの臨床例の蓄積が重要であると思われた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(3)
301-301, 2002
|