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第104回学術集会(平成14年10月19日(土),20日(日))

【一般演題】
胎児・新生児2
出生前の肺低形成評価が適当であった先天性横隔膜ヘルニアの1例


杉浦 健太郎, 川口 里恵, 遠藤 尚江, 新家 秀, 大浦 訓章, 田中 忠夫
東京慈恵会医科大学産婦人科


 先天性横隔膜ヘルニアは周産期医療の進歩にもかかわらずその成績は悪い.予後不良の原因は肺の低形成とそれに伴う新生児遷延性肺高血圧症(PPHN)である.PPHNを克服するために間欠的強制換気(IMV)に始まり,現在では高頻度振動法(HFO),人工肺を用いた体外循環法(ECMO),一酸化窒素吸入(NO療法)が登場し一定の効果はでている.しかし全ての医療機関において全ての設備が整っているわけではなく,出生前に肺低形成の評価を行なうことは母体搬送の是非を含め重要であると考えられる.肺低形成の評価として肺胸郭断面積比(LT比)が推奨されているが,その測定が困難であること,また必ずしも肺低形成の程度と相関しないとの指摘がある.今回我々は出生前に胎児MRIによるLT比の測定と胎児心エコーにより胎児両肺動脈径/下行大動脈径を計測しその組み合わせで,出生前に肺低形成評価を行い出生後の呼吸管理に有用であったので報告する.胎児エコーでは肺の境界を明瞭に区別することは困難であったが,MRIでは明瞭でLT比を0.21と測定した.また胎児心エコーにより胎児両肺動脈径/下行大動脈径を計測し1.25−1.44と計測した.重症度の境界は諸家の報告よりLT比は0.18−0.20,胎児両肺動脈径/下行大動脈径は川滝らの報告より1.2とされており,この症例における出生前肺低形成の評価を軽度より中等度と診断した.新生児は出生前に推測したようにHFO+IMV管理で可能であり,生後3日目には修復術が行なえ,その後も順調に経過した.出生前の肺低形成評価に対し,若干の文献的考察を加え報告する.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(3) 304-304, 2002


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