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第104回学術集会(平成14年10月19日(土),20日(日))
【一般演題】
胎児・新生児2 当院の出生前診断症例における問題点
岡本 弥生, 松田 義雄, 橋口 和生, 新井 理水, 伊藤 章子, 岡野 浩哉, 安達 知子, 太田 博明
東京女子医科大学産婦人科
近年,超音波断層装置の急速な進歩と診断技術の向上により,形態異常児が出生前より発見されるようになってきた.疾患の中には胎児治療が試みられ,出生直後からの適切な治療により,良好な治療結果が得られる症例も増加してきた.しかし,日常診療の中では,両親への充分な精神的配慮がないままに異常の告知が行われがちなのが現状である.出生前診断では疾患が確定的ではなく,しかも実際に児に対面していないために,両親や家族の反応はより複雑な心理過程を辿ることが予想される.特に生命予後の厳しい症例では,両親の心理的混乱をきたすことも稀ではない.今回我々は,出生前に胎児形態異常を指摘された症例における問題点の中で,特に患者の受け入れ状況について検討した.対象は平成13年3月より平成14年5月までに当院で扱った48症例であり,その内訳は心血管系19例,中枢神経系7例,腎泌尿器系7例,消化器系6例,その他9例であった.その内,患者側の受け入れが困難で,その後の対応に苦慮した症例は7例(心疾患5例,消化器系2例,14.6%)であった.その理由として,紹介元の病院での説明が不十分(4例)であったり,患者側と医療側で十分な意思疎通ができない(3例)などがあげられた.形態異常児はどこの施設でも遭遇するが,出生前後に適切な管理ができる施設は限られている.最初に発見された際の対応が,その後の円滑な受け入れに影響する症例が多くみられ,形態異常児の胎内診断例に対する管理体制の新たな検討が必要であると思われた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(3)
304-304, 2002
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