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第104回学術集会(平成14年10月19日(土),20日(日))
【一般演題】
胎児・新生児2 当院にて周産期管理を行った腹壁破裂6例の胎児超音波検査所見に関する検討
宮越 敬, 田中 守, 上原 克彦, 上野 和典, 吉村 泰典, 野澤 志朗
慶應義塾大学産婦人科
【目的】腹壁破裂では新生児の腸管浮腫や阻血性変化・合併異常の有無が児の予後に影響を与える.今回我々は胎児超音波検査所見により新生児の腸管異常の重症度を予測することが可能かどうかについて検討することを目的とした.【方法】1999年5月〜2002年5月に慶應義塾大学病院産婦人科にて妊娠分娩管理を行った腹壁破裂6例を対象とした.各症例について,胎児超音波検査所見として脱出腸管の蠕動運動の有無,腸管径および壁肥厚を,新生児所見として脱出腸管部位,腸管浮腫・フィブリン様被膜の付着,阻血性変化および合併異常の有無を中心に検討した.【成績】全症例すべて妊娠16〜37週に検出され,選択的帝切分娩に至った.分娩週数および出生体重は,それぞれ35.8±1.6週,2190±187g(mean±SD)であった.腹壁欠損孔は2〜5cmであり,消化管以外の合併奇形は認めなかった.脱出腸管については,妊娠16週で胎内診断された1例に小腸のみの脱出を認めた.妊娠20〜37週に検出された残り5例では小腸および結腸が脱出しており,脱出腸管部位は胎内診断と一致していた.合併異常として,3例に腸回転異常,2例に小腸閉鎖・軸捻転,2例にmicrocolon,1例に十二指腸閉鎖が認められた.高度の腸管浮腫・フィブリン様被膜の付着を認めた2例では,出生前超音波検査にて腸管径は約20mm,腸管壁厚は約4mmであり蠕動運動は不明瞭であった.一方,腸管浮腫を認めなかった4例では胎内において腸管径は約10mm未満,腸管壁厚は約2mmであり蠕動運動も明瞭であった.【結論】超音波検査上胎内における脱出腸管の著明な拡張・蠕動運動の消失・腸管壁の肥厚は,腸管浮腫・フィブリン様被膜の付着を示唆する所見と考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(3)
306-306, 2002
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