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第104回学術集会(平成14年10月19日(土),20日(日))
【一般演題】
子宮筋腫・子宮内膜症 特異な経過をたどった異所性子宮内膜症の2例
高橋 伸卓, 小泉 るい, 村上 浩雄, 武隈 宗孝, 松井 浩之, 芹沢 麻里子, 山下 美和, 岡田 喜親, 前田 真, 佐倉 東武
県西部浜松医療センタ−産婦人科
子宮内膜症は良性疾患でありながら,その発生部位や発育様式は多彩である.そして骨盤内に限らず腸管や肺などにも発生し,なおかつ浸潤性に発育するため,診断に苦慮することがある.最近我々は稀な部位に発生し,特異な経過をたどった異所性子宮内膜症の2例を経験したので報告する. 症例1:38才,未婚,未妊婦.平成10年8月から過多月経が出現し,その後疼痛も増強したため11年11月当科初診.内診上,子宮は鵞卵大で頚部後方が腫大していた.MRI所見では子宮頚部後壁内に径4.5cmの嚢胞を認めた.同部の疼痛強く,平成12年1月に穿刺排液したところ,内容液はチョコレート状で細胞診class IIであった.以後,GnRHa製剤を6か月間投与し,嚢胞は一時縮小したが,月経再来後には再び頚部は腫大した.平成13年2月,患者希望により腹式単純子宮全摘術を施行.病理組織所見で嚢胞内に内膜組織を認め,子宮頚部内膜症と診断.以降,再発徴候なし. 症例2:46才,未妊婦.平成9年1月頃から便秘と下痢を繰り返すも放置.平成14年2月から続く腹部膨満,嘔吐を主訴に,2月15日当院消化器科受診し,イレウスと診断され入院.直腸の大部分が壁外性に強度に狭窄していたが,直腸粘膜は正常であった.骨盤内腫瘍を疑い,2月19日当科紹介.内診上子宮は超鵞卵大で,ダグラス窩に固い腫瘍を触知し,可動性不良であった.膣鏡診で右後膣円蓋部に乳頭状に増殖する腫瘍を認め,生検施行.病理組織所見から子宮内膜症と診断した.3月1日人工肛門造設術施行.3月11日からGnRHa製剤の投与を開始し,今秋に根治術の予定である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(3)
308-308, 2002
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