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第104回学術集会(平成14年10月19日(土),20日(日))
【一般演題】
その他2 産婦人科医による,女性の健康問題へのアプローチ―女性医師による働く女性専門外来開設後 8ヶ月間の活動報告―
星野 寛美1), 草鹿砥 千絵1), 渡邉 理子1), 斎藤 一夫2), 袖本 武男2), 関 博之1)
関東労災病院 働く女性メディカルセンター1), 関東労災病院産婦人科2)
産婦人科医が,女性性器の疾患に限らず,女性の健康問題について全人的に対処する視点をもつことが必要であるということは,これまでも度々喚起されていることである. 当院では,勤労女性を対象として,疾病の早期発見・早期治療をめざし,昨年10月「働く女性専門外来」を開設した.開設以来,本年5月までの当外来の概要について報告し,女性の健康問題に対処するための,このような外来の必要性について考察する. 当外来は,週1回1時間,すなわち木曜の午後2時から3時までを受付時間としている.診療は,女性が受診しやすい環境として,女性医師が担当し,現在3名で対応している.不定愁訴や精神的トラブルを背景にもつ場合が多いため,問診に20分以上の時間が必要となることが多い.他科の疾患の場合は,当該科あてに紹介状を発行するが,スムーズに転科・転院せず,治療を中断してしまうことが多いため,疾患によっては,ある程度投薬治療を行うようにしている. 開設以来,5月末までに31回の診療を行ったが,1回当たり平均4.2人の新患の方が受診し,計131人の受診があった.年齢は18歳から71歳まで,平均38.6歳であった.疾患は,婦人科疾患が49.7%で,心身症が9.0%,精神疾患が8.5%,その他の科の疾患が17.5%であった. 開設以来,大阪など遠方からの来院者のあることを考えると,社会的ニーズはかなり高いものと考えられる.保険診療では,経済効率の期待できない部門ではあるが,「女性医師による女性専門外来」は,他科でも模索されつつあり,婦人科医も積極的に取り組むべきものと考えられる.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(3)
311-311, 2002
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