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第104回学術集会(平成14年10月19日(土),20日(日))
【一般演題】
子宮体部悪性腫瘍1 当科におけるIV期子宮体癌の治療法の検討
山田 和美, 沖 明典, 市川 良太, 杉本 雅樹, 藤木 豊, 佐藤 豊実, 市川 喜仁, 角田 肇, 吉川 裕之
筑波大学産婦人科
子宮体癌IV期の予後は非常に不良である.現在,治療としては手術,化学療法,ホルモン療法,放射線療法を組み合わせた集学的治療が中心であるが,治療効果は良好とは言いがたい.2001年7月より2002年3月までに,当科では子宮体癌IV期の8例に対し治療を開始した.遠隔転移によりIV期と診断された4例では,NACとしてパクリタキセル,カルボプラチンによる化学療法(TJ療法)を行うことで腫瘍の縮小を図った.治療効果は4例中3例がPR,1例がSDで,その後interval debulking surgeryを行い4例ともoptimal surgery(残存腫瘍1cm以下)とすることができた.いずれも術後TJ療法を3,4コース追加し経過観察中であるが,うち一例は治療中に再燃し,9ヶ月で死亡した.術後診断でIV期となった4例では,CAP,TJ療法を2,3コース施行した後で症例によっては放射線療法を追加している.2例はCAP療法施行中にPDとなり,そのうち1例はTJ療法に変更後奏効せず死亡,もう1例はTJ療法にてPRとなり継続中である.残りの2例は再発徴候を認めず,治療継続中である.進行子宮体癌に対する治療としてはNACが有効であり,初回治療の奏効率は75%(3/4)と良好であった.TJ療法は治療効果判定のできた6例中4例で奏効し,IV期子宮体癌の治療の選択肢の一つとなり得ると考えられた.その一方で効果が一時的であった症例もあり,長期予後の改善のためには更なる治療法の検討が必要と考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(3)
314-314, 2002
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