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第104回学術集会(平成14年10月19日(土),20日(日))
【一般演題】
子宮体部悪性腫瘍2 卵巣腫瘍と鑑別困難であった子宮平滑筋肉腫再発の一例
塚越 静香, 田村 友宏, 安部 和子, 六川 俊一, 太田 克人, 竹中 恒久
伊勢崎市民病院産婦人科
我々は術前に卵巣腫瘍との鑑別に苦慮した子宮平滑筋肉腫の骨盤リンパ節再発の症例を経験したので報告する.症例は48歳3回経産婦.32歳時に子宮筋腫を指摘され経過観察としていたが,急速増大を認め,腹部圧迫症状があることより45歳(平成10年12月)時に当院にて腹式単純子宮全摘術を施行.術後病理組織診ではleiomyomaであった.その後卵巣検診として定期受診としていたところ平成13年12月経腟超音波上左骨盤内に78×43mmの腫瘍を認め,内部は嚢胞状を呈していた.3ヶ月後再検したところ同腫瘍は84×70mmとさらに増大し,充実性の部分を認めた.骨盤MRIを施行したところ,13cmを超える巨大な嚢胞性腫瘤を認め,内部に9cmの実質性の腫瘤を認めた.血液検査にてCA125・CA19−9・CEA・AFPはいずれも基準値以下であったが,腫瘍の性状・増殖速度より 悪性卵巣腫瘍を強く疑い平成14年4月5日に開腹手術を施行.開腹時所見としては左外腸骨リンパ節が手拳大に腫大しており,両側卵巣に著変は認められなかった.両側付属器切除術ならびに左骨盤リンパ節郭清を施行.病理組織学的に卵巣には異常なく,腫瘍組織は好酸性紡錘形細胞が錯綜する束をなして増殖し,核分裂像が多いところでは40個/10HPF認められ,また特殊染色にてactin・desmin陽性であることよりleyomyosarcomaと診断された.元の子宮切片を再検討したところこの腫瘤と類似性を示す箇所が認められた.以上のことより本腫瘤は子宮平滑筋肉腫の骨盤リンパ節再発であると診断した.平滑筋腫瘍においては良性であっても細胞異形や核分裂像の強いものや臨床上急速増大といった異常な経過をたどったものに関しては術後長期間経過観察をすべきと思われた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(3)
316-316, 2002
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