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第104回学術集会(平成14年10月19日(土),20日(日))
【一般演題】
子宮体部悪性腫瘍2 初診時CT検査が不可能だった大量腹水を伴った巨大子宮体部悪性腫瘍の一例
内山 心美, 花澤 司, 葛目 栄子, 濱田 貴, 藤川 浩, 齋藤 裕, 野嶽 幸正
昭和大学藤が丘病院産婦人科
巨大腹部腫瘤について多数の報告はあるが,今回我々は救急CT検査が不可能だった大量腹水を伴った巨大子宮悪性腫瘍の一例を経験したので報告する.症例は55歳,2経妊2経産,10年以上前から腹部腫瘤を自覚するも放置していた.平成14年4月16日腹部膨満感,呼吸苦,歩行困難を主訴に救急来院,内科より当科に紹介され緊急入院となる.腹部超音波にて腹腔内に巨大充実性腫瘍(直径約40cm)および大量腹水,胸水貯留と心拡大を認めた.身長148cm,腹囲180cmと増大した腹部のため,CT,MRI装置に入らず,画像検索は不可能であった.腹水細胞診はクラスV,患者,家族の同意のもとに,4月23日腹腔鏡により腫瘍の性状を検索したところ,巨大腫瘍表面には樹枝状に走行する腫瘍血管と腹膜および腸管表面に多数の播種性腫瘤を認めるも原発巣は確認できなかった.麻酔科,救命救急科,放射線科,循環器,呼吸器科との合同カンファランスにおいて,全身状態の改善には腫瘍摘出が必須との結論にて,連日腹水穿刺(約5−8L)により腹囲の縮小を図った.腹部CT検査では卵巣悪性腫瘍と腹膜播種と診断,両下肢深部静脈血栓,肺塞栓を来したため下大静脈フィルターを留置し,5月2日腫瘍摘出術を施行した.腫瘍は子宮由来であり,両側付属器は正常,腹腔内の広範囲に2−8cm大の腹膜播種を認めたため,子宮腫瘍は膣上部で切断し,播種病巣の一部を切除した.摘出腫瘍重量は17.5kg,腹水は15,300ml,術中出血量は15,900mlに及んだ.術後病理組織診断は子宮平滑筋肉腫であった.術後併発した心不全,肺水腫に対して2週間ICU管理下で全身状態の改善を図り,現在は呼吸機能,歩行などのリハビリをおこなっている.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(3)
317-317, 2002
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