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第104回学術集会(平成14年10月19日(土),20日(日))
【一般演題】
子宮体部悪性腫瘍2 生体肝移植後に発症した婦人科悪性腫瘍の3例
橘 涼太, 伊東 和子, 岡 賢二, 大平 哲史, 塩原 茂樹, 塩沢 丹里, 小西 郁生
信州大学産婦人科
生体肝移植手術を受け免疫抑制剤服用中に発生した子宮内膜癌2例と子宮頚部上皮内癌1例について報告する.症例1は42歳の未妊女性で,1996年2月原発性胆汁性肝硬変症にて肝移植を受け,免疫抑制剤FK506を使用していた.1998年2月子宮内膜癌と診断され,手術を施行しIb期であった.症例2は49歳の未妊女性で,1998年1月家族性アミロイドポリニューロパチーにて肝移植を受け,FK506を使用していた.2002年4月子宮内膜癌が判明し,手術の結果IIIa期であった.症例3は22歳の未妊女性で,劇症肝炎にて肝移植を受け,FK506とプレドニゾロンを使用していた.2001年6月子宮頚部上皮内癌と診断されたが,肝不全による凝固能異常が認められたためCO2レーザーにて焼灼術を行った.3例ともに,術前後ともFK506を続行し,症例2は現在もFK506を併用しつつ化学療法中である.当院では1990年からこれまでに女性106例が生体肝移植を受け,うち10歳以上58例,うち2002年5月現在の生存者47例であるが,このうち2例に子宮内膜癌,1例に子宮頚部上皮内癌が発生したことになる.従来より腎移植後などの免疫抑制剤使用中の悪性腫瘍発生が報告されているが,今後,生体肝移植後においても厳重な観察が必要と考えられる.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(3)
318-318, 2002
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