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第104回学術集会(平成14年10月19日(土),20日(日))

【一般演題】
感染症
閉経後の両側卵管留膿腫の1例


中澤 学, 善利 史子, 井村 昌義, 中川 俊介, 森田 豊, 久具 宏司, 堤 治, 武谷 雄二
東京大学産婦人科


 卵管留膿腫は,骨盤腔内の多臓器と癒着し,炎症が波及してひとつの腫瘤塊を呈することがあり,欧米においては一括してTubo-ovarian abscess(TOA)として扱われる.TOAは20〜39歳の出産年齢に多く,閉経後の症例は1.7%に過ぎない.
 今回我々は,閉経後に発症した両側巨大卵管留膿腫の1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.症例は,53歳,女性.2経妊0経産 初経12歳,閉経51歳,10年間性交渉なし.【既往歴】15年前より気管支喘息.10年前より子宮筋腫指摘.7歳虫垂炎,12歳中耳炎手術.【現病歴】平成14年2月初旬より,腹部膨満感を自覚.2月20日頃,39度台の発熱,感冒症状を認めた.2月25日近医にて,腹部膨隆が著しいため,CT施行し付属器腫瘍が疑われた.当科紹介受診時,膣エコー上15x12cmの単純性嚢胞.CT,MRIより,両側の卵管留水腫又は留膿腫の診断.膣培養:E. coli(3+)WBC 15600 CRP 35.8 chlamydia IgG(+),IgA(−).3月5日入院管理となり,保存的治療として,PAPM/BP 1g/day投与開始するも弛張熱改善せず,3月11日単純子宮全摘,両側付属器切除術施行.両側付属器は左右それぞれ直径20cm,15cm程度腫大した卵管留膿腫であった.内溶液の培養にてE. coli(+)術経過良好にて3月22日退院.一般に,卵管留膿腫の治療は保存的治療が第一選択であるが,本症例においては,閉経後であり,保存的治療を試みた後,本人に十分のインフォームドコンセントの後に,手術療法(TAH+BSO)を行った.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(3) 319-319, 2002


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