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第104回学術集会(平成14年10月19日(土),20日(日))
【一般演題】
不妊・不育 当科における年齢別不妊外来受診・妊娠傾向―10000受診を解析して―
渡辺 倫子, 櫻井 学, 田中 智子, 染谷 勝巳, 臼杵 さとし, 吉川 裕之
筑波大学産婦人科
【緒言】いったい不妊患者はどのくらいの受診・治療に対して1回妊娠するのか.不妊外来の治療成績を語る上でこの命題は欠くことのできないテーマである.抗エストロゲン製剤やゴナドトロピン製剤,人工授精,IVF-ETをはじめとする各種ARTなど,治療法別治療周期あたりの妊娠率や対患者あたりの妊娠率は各施設より多くの報告が認められるものの,対受診あたりの妊娠率の報告は少ない.これはとりわけ年齢別対受診あたりのコストパフォーマンスを直接反映するため,高齢患者の初診時インフォームドコンセントとして重要と考えられる.そこで当科では2001年初頭よりDatabaseを作成し,全ての外来受診の網羅的登録を開始した. 【結果】開始から総患者数300余,約10000回の外来受診を見,解析を行った.妊娠例の約40%は初診から1年以内,また約80%は2年以内に集中していた.全体の対受診あたりの妊娠率は0.68%,1回の妊娠に148回の受診が必要なことになり,各年齢別では24歳以下1.05% 67回,25〜29歳0.88% 113回,30〜34歳0.97% 103回,35〜39歳0.29% 345回,40歳以上0.20% 510回であった.また年齢の上昇と共にゴナドトロピン製剤の投与日数が増加し,治療効率が著しく低下することが示唆された. 【考察】不妊カップルにおいてはできるだけ早期の医療機関受診を勧めることが,患者,治療者,医療経済的に望ましいと思われる.また40歳を越える症例では初診時のインフォームドコンセントが重要で,早期のARTへの治療展開が必要と考えられる.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(3)
321-321, 2002
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