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第105回学術集会(平成15年6月8日)
【シンポジウム1】
子宮筋腫の治療を再考する―妊孕性温存を含めたQOLの改善を目指して― 2.ラパロスコープ下筋腫核出術
井坂 恵一
東京医科大学
近年子宮筋腫に対する治療は,GnRH analogueや内視鏡下手術の導入によって,大きく変貌しようとしている.特に従来はそのほとんどが開腹術で行われてきた子宮温存手術については,腹腔鏡下手術,子宮鏡下手術,選択的子宮動脈塞栓術(UAE)といったより低侵襲性な治療法が脚光を浴びるようになってきた.この中でラパロスコープを用いた筋腫核出手術は,漿膜下筋腫や筋層内筋腫といった頻度の高い筋腫の治療に対して選択されるが,その需要は腹腔鏡下手術の普及ならびにその術式の健康保険適応により急速に増加している. 当教室においても平成11年より腹腔鏡下筋腫核出術を本格的に導入してきたが,現在ではその術式がほぼ確立してきたのにともない筋腫核出術の50%を越える症例が腹腔鏡下に行われるようになっている.その特徴としては視野確保には縫合結紮が簡単に行える吊り上げ法を用い,腹壁孔を最大限に利用するために腹膜皮膚縫合を行い,さらに開腹用持針器を用いた縫合,用手による剥離結紮,メスによる筋腫細切取り出しなど独自に開発した安全性,操作性,経済性に優れた術式を採用していることが挙げられる.現在まで200例以上に施行しているが,1例のlaparoscopic assisted myomectomy(LAM)以外はすべてlaparoscopic myomectomy(LM)にて行い,開腹に移行した症例はない. 本シンポジウムでは我々が行っている吊り上げ法を用いたラパロスコープ下筋腫核出術を紹介し,症例を提示してその適応と限界について解説したい.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(2)
145-145, 2003
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