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第105回学術集会(平成15年6月8日)
【一般演題】
子宮頸部悪性腫瘍(1) 当院における子宮頸部悪性腺腫10例の検討
小野 晃子, 久布白 兼行, 平尾 薫丸, 倉橋 崇, 岩田 卓, 福地 剛, 藤井 多久磨, 塚崎 克己, 吉村 泰典, 野澤 志朗
慶應義塾大学産婦人科
【目的】子宮頸部悪性腺腫(Adenoma Malignum)は子宮頸部腺癌の中でも稀な疾患であり,細胞診や組織診による術前診断が困難な場合が少なくない.今回我々は10例の悪性腺腫をretrospectiveに症例検討した.【方法】当院にて1994〜2002年に経験した悪性腺腫10症例を対象とし(1)初診時の主訴(2)頸部細胞診診断,コルポ下組織診診断および術前診断(3)超音波断層法とMRI所見(4)術後の臨床進行期分類を中心に検討した.【成績】(1)主訴は水様性帯下が4例で最も多かった.(2)術前に悪性腺腫と診断されたのは5例であり,うち3例に確定診断のため円錐切除術が施行されていた.また,3例は子宮筋腫にて単純子宮全摘術を施行し摘出標本中に悪性腺腫の合併が判明したものであった.頸部細胞診診断はclassII 3例,IIIa 3例,IIIb 2例,V 2例で,コルポ下組織診は8例に行い,悪性腺腫4例,腺癌1例,腺異形成1例,正常組織所見2例であった.(3)画像診断で頸部嚢胞性病変を指摘された症例は6例であった.(4)7例に子宮頸癌根治術を施行し,子宮筋腫の診断で子宮全摘術を施行した3例は追加治療として骨盤リンパ節郭清術を施行した.術後臨床進行期はpTIb1N0M0が9例,pTIb2N0M0が1例であり,2例に術後化学療法(MEP),2例に放射線療法を施行したが,現在のところ全症例が無病生存症例である.【結論】悪性腺腫は術前診断が困難な場合が少なくなく,細胞診,コルポ下組織診のほか画像診断などで本腫瘍が否定できない症例では円錐切除術による診断が重要である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(2)
154-154, 2003
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