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第105回学術集会(平成15年6月8日)
【一般演題】
子宮頸部悪性腫瘍(1) IVa期子宮頚癌の治療と予後
後藤 友子, 長井 智則, 斎藤 麻紀, 末永 昭彦, 山本 智子, 林 直樹, 竹田 省
埼玉医大総合医療センター産婦人科
【目的】一般に膀胱浸潤を伴うIVa期子宮頚癌は放射線によって完治困難であり予後不良である.当院で経験した子宮頚部扁平上皮癌IVa期症例の治療と予後について検討した.【方法】対象は1990年から2000年の間,当院で治療された子宮頚部扁平上皮癌IVa期症例のうち,全身状態を理由に初回治療が完遂できなかった症例を除く11症例で,治療内容,治療成績,予後について後方視的に検討した.【成績】治療内容のうちわけは,放射線療法群(R群)4例,動注化学療法後放射線療法群(C+R群)4例,動注化学療法後手術療法群(C+O群)3例であった.動注化学療法は2または3コース施行され,奏効度は7例中CR0例,PR5例であった.IVa期全体の5年生存率は26.5%で,R群は全例原病死され5年生存率は0%,C+R群は4例中3例が2年以内の早期に原病死となり,5年生存率は25%,1例は無病生存中であるが,放射線療法後の出血性膀胱炎を認めている.C+O群は手術療法として広汎子宮全摘+骨盤リンパ節郭清+膀胱全摘+尿管皮膚瘻造設術を行い,病理組織診では全例で腫瘍病変の膀胱への残存を認め,1例のみ術後腔内照射を施行,全例再発なく無病生存中で5年生存率は100%である.【結論】子宮頚癌IVa期症例の予後は不良であり,動注化学療法の奏効度の限界,放射線療法後の再発・再燃や晩期障害,膀胱摘出を併用した手術療法による術後のQOL低下などが示唆されたが,完全摘出が見込まれる症例では積極的な手術療法も予後の改善につながる可能性が示唆された.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(2)
155-155, 2003
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