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第105回学術集会(平成15年6月8日)

【一般演題】
子宮頸部悪性腫瘍(2)
妊娠中期に子宮頸部腺癌を発見し,帝王切開術後,広汎子宮全摘術を施行した一例


荒木 春奈, 小坂 元宏, 尾林 聰, 麻生 武
東京医科歯科大学周産女性診療科


 妊娠中に子宮頸癌が発見される頻度は,上皮内癌の発生率は0.13%,浸潤癌の発生率は0.05%と報告(1982年Hackerら)されている.今回私達は,妊娠中期に子宮頸部腺癌が発見され,子宮頸部生検にて浸潤癌であったため,先ず母体保護法の適応で腹式帝王切開術を行い,術後2週間後に子宮頸癌に対する根治手術を行った症例を経験したので報告する.症例は31歳0経妊0経産.家族歴,既往歴に特記すべき事なし.妊娠13週頃に腟分泌物が増量し,出血も認めたため近医受診したところ子宮腟部の細胞診がclassVであったため妊娠15週2日に当科へ紹介された.子宮頸部生検にてpoorly differentiated carcinomaの結果であり,妊娠を継続する事は母体にとって著しく健康を損なうおそれがあると判断し,母体保護法に基づき妊娠を中断する事とした.妊娠15週5日に古典的腹式帝王切開術を施行.児は112g,身長は17cmで明らかな外表奇形はなく,胎盤にも転移と思われる所見は認められず,術後経過は良好であった.MRI,CT,膀胱鏡,DIP,大腸内視鏡などの検査によっても明らかな子宮外の浸潤像,転移巣は認められなかった.帝王切開後14日目に子宮頸癌1b1期の診断にて,広汎子宮全摘術+骨盤内および下腸間膜動脈分岐部までの傍大動脈リンパ節郭清を施行した.摘出標本にて,子宮腟部に径2cm大のmassを認めた.また,骨盤リンパ節,傍大動脈リンパ節に明らかな腫大は認められなかった.今後病理の結果を待って,化学療法を施行する予定である.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(2) 158-158, 2003


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