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第105回学術集会(平成15年6月8日)
【一般演題】
子宮体部悪性腫瘍(1) adenomyotic cystから発生した子宮体癌の一例
小原 みほ子, 斉藤 慶弘, 本道 隆明, 木村 薫
厚生連篠ノ井総合病院産婦人科
子宮体部筋層内に内膜腺が嚢胞状に拡張し肉眼的に認められる嚢腫を形成した病変はadenomyotic cystあるいはcystic adenomyosisなどど呼ばれる.子宮体部に発生する嚢胞性病変は全子宮腫瘍の0.35%と頻度は少なく,その悪性病変となると報告例はあるものの極めて希な疾患である.adenomyotic cystの術前診断は卵巣腫瘍や子宮筋腫の変性とされていることが多く,鑑別困難である.今回我々は術前に卵巣悪性腫瘍と診断したものの,adenomyotic cystから発生した子宮体癌(明細胞癌)の一例を経験したので報告する.症例は80歳の1回経妊0回経産女性,検診で卵巣腫瘍を指摘され,当院に紹介となった.超音波検査およびMRIで内部に不整な充実性部分を伴う直径8cm瘍を認めた.血中腫瘍マーカーは,CA125,CA19−9,CEAのいずれも正常域であった.卵巣悪性腫瘍の診断で開腹術を施行した.子宮は手拳大に腫大し表面平滑で軟であり,左右卵巣は年齢相当に萎縮し異常所見を認めなかった.単純子宮全摘術,両側付属器切除をまず施行した.摘出物は380gで子宮に割面を入れると子宮内腔と交通性のない嚢胞を認め,褐色の内容液を認めた.迅速病理で悪性所見を認めたため,子宮体癌と診断し骨盤内リンパ節郭清術を追加し手術終了とした.術後adenomyotic cystから発生した明細胞癌と診断されたが,リンパ節転移は認めなかった.現在外来にて経過観察中であるが,再発徴候を認めず,経過良好である.adenomyotic cystから発生した子宮体癌(明細胞癌)について文献的考察を加え検討する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(2)
161-161, 2003
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