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第105回学術集会(平成15年6月8日)
【一般演題】
子宮体部悪性腫瘍(1) 異時性4重複癌(左・右乳癌,胃癌,子宮体癌)の一例
中上 弘茂, 太田 均, 青木 千津, 中熊 正仁, 古川 隆正
上尾中央総合病院産婦人科
昨今,子宮体癌における重複癌として乳癌が注目されてきているが,今回我々はさらに胃癌を重複した異時性4重複癌の症例を経験したので報告する.症例は56歳,2経妊2経産.既往歴として,昭和53年左乳癌,平成元年胃癌,平成5年右乳癌のおのおの異時性の重複癌での治療歴があった.今回は平成14年11月に不正性器出血を主訴に当院外来受診した.子宮は鵞卵大で少量の性器出血を認め,子宮内膜細胞診classV,同内膜組織診adenocarcinoma,MRI上も子宮体部に限局した異常陰影を認めたため子宮体癌と診断し,平成15年2月に子宮全摘術+両側付属器切除術+リンパ節郭清術を行った.今後は術後病理検査結果を待ち,追加治療を検討していく予定である.近年悪性腫瘍の早期診断と治療の法制化や治療技術の進歩などにより,初発の癌を克服した長期生存者が増加しており,それに加え子宮体癌と乳癌は本邦でも増加傾向にある.今後一層このような婦人科症例は増加してくるであろう.本症例は悪性腫瘍の治療にあたって他臓器の癌の合併の検索や治療後の長期のフォローアップの必要性を改めて感じさせられた一例であった.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(2)
163-163, 2003
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