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第105回学術集会(平成15年6月8日)
【一般演題】
卵巣腫瘍(1) 腺癌への悪性転化を認めた成熟嚢胞性奇形腫の一例
中澤 禎子, 金枝 貴史, 小平 博, 今井 一夫, 土岐 政嗣
横須賀市立市民病院産婦人科
成熟嚢胞性奇形腫は稀に(1.9%)悪性転化を起こすことが知られている.悪性転化症例の大部分は扁平上皮癌(83%)と言われているが,腺癌(6.8%)や悪性黒色腫,肉腫などへの転化例も報告されている.腺癌転化例の報告数は少なく,治療法・予後については確立されていない.我々は,腺癌へ悪性転化した成熟嚢胞性奇形腫の一例を経験した.症例は80歳(Og0p),前医で腹水と骨盤内腫瘍を指摘され当院を受診した.MRI検査では骨盤内に乳頭状発育を示す辺縁不整の充実性腫瘍と一部に脂肪成分と石灰化を伴った嚢腫を認めた.さらに腫瘍マーカーも高値(CA125:1200,STN:2500,CEA:22.3)を示した.悪性腫瘍を強く疑い,手術(ATH+BSO+PLAD+PALAD+p-OM)を施行した.開腹所見は大量の腹水と左卵巣より発生した小児頭大の充実性腫瘍,一部に脂肪成分とhair ballを伴った奇形腫を認めた.病理組織診断はMature cystic teratoma with malignant transformation(adenocarcinoma).術後診断は卵巣癌IIIc(pT2c N1 M0)であった.術後CBDCA+Etoposideの腹腔内投与後,CDDP(15mg/body)/PEP(5mg/body)/Etoposide(100mg/body)による化学療法を開始した.現在,Weekly Taxol+Monthly CBDCA療法へ変更し治療を継続しているが,明らかな増悪所見は認められていない.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(2)
164-164, 2003
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