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第105回学術集会(平成15年6月8日)
【一般演題】
卵巣腫瘍(3) 透析中の進行子宮体癌・卵巣癌の重複癌に化療を行い得た1例
矢作 奈美子1), 保坂 猛1), 笹尾 麻紀1), 大原 樹1), 大熊 克彰1), 近藤 春裕1), 佐藤 聡二郎1), 木口 一成1), 石塚 文平1), 田所 衛1)
聖マリアンナ医科大学産婦人科1), 聖マリアンナ医科大学病理2)
悪性腫瘍に対する治療は,近年,着実に発展してきており,治療成績の向上に化学療法の進歩が貢献している.また,長期透析患者が増加することにより,悪性腫瘍を合併する透析患者が増加している.婦人科癌に対する化学療法は白金製剤を中心としているが,透析中の患者に投与する薬剤の選択は多くの考察がされている.今回我々は,子宮体癌IIIa期・卵巣癌IIa期の重複癌患者に対し,化療としてTaxol(TXL)+CBDCA療法を選択し,透析前後の血中濃度を測定したので,文献的考察を含め報告する.症例は51歳,女性3経妊2経産.46歳時に慢性腎不全のため透析開始.平成14年4月,腹痛のため婦人科受診.内診・経膣超音波検査上左付属器に手拳大の腫瘤を触知.血中CA125 82U/mlと高値.骨盤MRI・腹部CTで多房性の腫瘤を認め,卵巣癌の診断で平成14年7月2日,腹式単純子宮全摘術,両側付属器摘出術,大網切除を施行した.術後の病理診断は子宮からはendometrioid adenocarcinoma(G2),卵巣よりendometrioid,serous,clear cell carcinomaを認め,子宮体癌IIIa期・卵巣癌IIa期と診断した.術後,TXL180mg/body,CBDCA150mg/bodyを合計6コース施行した.化療はTXLを3時間静注後,CBDCAを2時間静注した.血液透析はCBDCA投与後16時間後に行った.治療後の骨髄抑制などの副作用は軽度であり,投与量を減量するほどではなかった.現在再発徴候も認めず,経過観察中である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(2)
171-171, 2003
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