 |
|
  |
|
         
|
<< 学会誌へ戻る Massive Ovarian Edema（MOE：広汎性卵巣浮腫）は，卵巣間質内浮腫により卵巣が腫大する稀な疾患である．今回，我々は卵巣悪性腫瘍との鑑別が困難であったMOEの症例を経験したので報告する．【症例】29歳，0回経産．既往歴・家族歴に特記すべきことはない．右下腹痛のため近医受診，卵巣腫瘍を指摘され精査のため当院を受診した．内診では，右付属器に可動性の良好な圧痛を伴う硬い腫瘤を触知した．超音波検査では，右付属器に小嚢胞を伴う不均質な充実性腫瘤を認め，造影MRIでは中心部から放射状に不均質に造影される充実性腫瘍を認めた．腫瘍マーカーは正常範囲内であったが画像所見より卵巣悪性腫瘍を強く疑い開腹術を施行した．右卵巣は表面平滑で手拳大に腫大し，1080度茎捻転しており右卵巣切除術を行った．病理組織学所見には悪性所見は認められず，卵巣中心部の間質を主とした著明な浮腫と静脈の拡張を認め，正常卵胞が外側に圧排されており，左MOEと診断した．【考察】MOEはKalstoneらの最初の報告（1969年）を含め約80例報告されている．成因は不明であるが，静脈およびリンパ管の還流障害が原因と考えられている．症状としては，約半数で腫大した卵巣の茎捻転を伴うことから，下腹部痛が最も多い．その他では内分泌異常が報告されている．画像所見では充実性の不均質な造影効果が認められる．そのため悪性腫瘍が疑われ卵巣の患側切除術の施行される症例が多い．腹腔鏡下の捻転解除によりMOEが軽快したとの報告もあり，比較的若年者に好発することからも，MOEを卵巣腫瘍の鑑別診断に加えることが重要と思われた． 日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(2) 172-172, 2003 |
||
|
一般社団法人関東連合産科婦人科学会事務局 〒102-0083 東京都千代田区麹町4-7 麹町パークサイドビル402 株)MAコンベンションコンサルティング内 TEL：03-3288-0993 FAX：03-5275-1192 E-mail：kantorengo@jsog-k.jp Copyright (C) 一般社団法人関東連合産科婦人科学会 |