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第105回学術集会(平成15年6月8日)
【一般演題】
卵巣腫瘍(4) 両側卵巣に発生したBrenner腫瘍の1症例
河野 照子1), 山中 智哉1), 深田 幸仁1), 星 和彦2)
国立甲府病院産婦人科1), 山梨大学産婦人科2)
Brenner腫瘍は卵巣腫瘍の1%前後を占める稀な腫瘍である.今回我々は両側卵巣に発生したBrenner腫瘍の1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.症例は87歳 2経妊 2経産.腹部腫瘤感を主訴に近医を受診し,当院を紹介受診した.超音波断層検査及びCTにて充実性部分と隔壁を伴った直径15cmの腫瘍を認め,卵巣腫瘍の疑いにて入院精査となった.腫瘍マーカーはCA125 99U/ml,CA72−4 11U/ml,CEA 59.6ng/ml,エストラジオール33.2pg/mlと高値を示した.MRIを含めた画像所見からはserous cyst adenocarcinomaが疑われた.2002年11月,腹式単純子宮全摘,両側付属器切除,骨盤内リンパ節郭清,大網切除を施行した.腫瘍は右卵巣原発であり,重さは1,650gであった.迅速病理組織にて悪性卵巣腫瘍またはBrenner腫瘍が疑われた.術後の病理組織診断では右卵巣は増殖性Brenner腫瘍,左卵巣は良性Brenner腫瘍で異なる所見であった.子宮,リンパ節,大網に転移は認められなかった.術後の腫瘍マーカーはCA125 46U/ml,CA72-4 3U/ml,CEA 0.8ng/ml,エストラジオール10pg/ml以下と低下していた.経過良好で術後19日目に退院.現在再発も無く外来にて経過観察中である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(2)
173-173, 2003
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