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第105回学術集会(平成15年6月8日)
【一般演題】
卵巣腫瘍(5) 子宮内膜症の長期フォロー中に卵巣類内膜腺癌を併発した1例
矢野 ともね, 高島 明子, 桝谷 法生, 横山 安哉美, 深谷 暁, 三宅 潔, 大高 究, 木下 俊彦, 伊藤 元博
東邦大学付属佐倉病院産婦人科
子宮内膜症が卵巣癌,特に明細胞腺癌や類内膜腺癌と共存することが報告されている.今回われわれは子宮内膜症および不妊症にて治療中に類内膜腺癌と診断された症例を経験したので,若干の考察を加え報告する.症例は32歳,未経妊で,子宮筋腫・卵巣チョコレート嚢腫・不妊症にて近医より紹介・受診した.初診時超音波検査にて両側卵巣嚢腫(左6cm,右4cm大)を認め,腫瘍マーカーCA125は200U/mlであった.平成12年9月開腹手術にて両側卵巣嚢腫摘出術を施行した.病理結果は右卵巣endometriosis,左卵巣hemorrhagic corpus luteum cystであった.術後クロミフェンによる排卵誘発を行った.平成13年12月超音波検査にて左卵巣に6cm大の嚢胞を認め,充実性部分は認められず,GnRH analogによる治療を6ヶ月施行した.平成14年9月突然の下腹部腫瘤感・左下腹部痛が出現,超音波検査にて左下腹部に充実性部分をもつ10cm大の嚢胞状の腫瘤を認めた.腫瘍マーカーはCA 125が567U/mlと高値であった.患者および家族とのinformed consentのうえ,平成14年11月左付属器切除術を施行した.病理結果はendometrioid adenocarcinoma and endometriosisであった.子宮内膜症における卵巣癌の合併は高頻度であることが報告されており,子宮内膜症の患者のフォローには常に悪性腫瘍の発症に留意して治療および経過観察を行うことが重要である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(2)
174-174, 2003
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