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第105回学術集会(平成15年6月8日)

【一般演題】
卵巣腫瘍(5)
比較的若年で発症した成人型顆粒膜細胞腫


渡邉 征雄, 中山 靖夫, 秋山 邦久
東京共済病院産婦人科


 今回我々は比較的若年の成人型顆粒膜細胞腫の例を経験したので報告する.症例は31歳0経妊0経産.下腹部痛を主訴に救急外来を受診した.初診時より下腹部全体に腹膜刺激症状を認め,超音波にてfree space3cm,右卵巣10cm大に腫大していた.CTにて右卵巣約10cm,腹腔内に液体の貯留著明で,肝臓周囲まであった.右卵巣腫瘍・卵巣出血の診断にて緊急手術となった.腹腔内は出血が吸引で800ml,右卵巣は手拳大に腫大し,完全に破裂している状態だった.右付属器切除施行し,出血量は1100mlであった.病理診断の結果,顆粒膜細胞腫(成人型)であった.顆粒膜細胞腫は境界悪性腫瘍に分類され,性索間質性腫瘍の中のひとつである.全卵巣腫瘍中の1〜2%と稀な腫瘍で,エストロゲン活性をもつ機能性腫瘍としても知られている.本腫瘍は組織像の違いから成人型・若年型に分類され,成人型が約95%を占める.発症年齢は成人型で50〜55歳が多く,若年型で30歳以前の小児・若者に多いとされる.成人型の5年生存率は55〜90%と言われており,再発率も5年で30%といわれる.また,晩期での再発も多く,術後20年での再発例の報告もある.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(2) 176-176, 2003


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