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第105回学術集会(平成15年6月8日)
【一般演題】
子宮筋腫/肉腫 術前に卵巣腫瘍と診断された小腸平滑筋肉腫の1例
小林 由佳, 中井 弘美, 福嶺 紀隆, 野平 知良, 岡部 一裕
東京医科大学産婦人科
小腸平滑筋腫瘍は腸管の固有筋層あるいは粘膜筋板より発生し,空腸に好発する比較的稀な疾患である.肉眼的及び組織学的所見のみで良性か悪性か分類することは困難であるが,細胞密度,細胞異型性,分裂像の有無などが良・悪性鑑別の指標となる.小腸平滑筋肉腫(leiomyosarcoma)は原発性小腸悪性腫瘍中28%で悪性リンパ腫,腺癌についで多く,一般的には直腸平滑筋肉腫手術症例の5年生存率は40%前後と予後の悪い腫瘍である.今回我々は術前に画像診断より卵巣腫瘍と診断をしていたが,結果的には小腸平滑筋肉腫であった1例を経験した.症例は48歳女性,3経妊2経産.月経歴28日整.平成13年11月24日人間ドックにて卵巣腫瘍を指摘.平成14年1月31日当院紹介受診となり,腫瘍マーカーの上昇を認めずMRIにて子宮底部に3cm大の筋腫以外に子宮底部に接しT2WI軽度高信号で内部にのう胞成分を含む約8×6×9cmの腫瘍像を認めた.筋腫の変性も考えられたが,左卵巣の同定ができなかったことより子宮筋腫及び卵巣腫瘍と診断.外来にて経過観察行うも,腫瘍増大傾向認めた為,9月30日入院.10月1日手術施行.子宮全摘出術と付属器切除術予定であったが,術前に卵巣腫瘍と診断されていた充実性腫瘤はtraitz靭帯より肛門側7cmに発生した小腸腫瘍であり,子宮底部に3〜4cmの子宮筋腫を認めた他,両側卵巣には特に異常は認められなかった.子宮全摘出後に外科Drにconsultし小腸腫瘍摘出となった.術後経過は良好であり10月17日退院となった.以後外来にて経過観察中であるが,腫瘍マーカーの上昇など再発兆候を認めていない.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(2)
178-178, 2003
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