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第105回学術集会(平成15年6月8日)
【一般演題】
その他 子宮筋腫に対しGnRHアナログ投与中にRPLSを発症した1例
木村 正博, 山下 真紀子, 石井 康徳, 小川 博和, 小林 浩一, 畑 俊夫, 石原 理
埼玉医科大学産婦人科
血圧の上昇に伴い,頭痛,全身痙攣,視力障害などの神経症状をきたす状態を高血圧脳症というが最近はサイクロスポリン脳症や子癇を高血圧性脳症に含めることも多く,一括してReversible posterior leukoencephalopathy syndrome(RPLS)と呼ばれている.脳血管の自己調節能を超える高血圧により脳血液関門の破綻が生じ,可逆性の血管性浮腫が生じると考えられている.血管のspasmや逆に血管の拡張が原因となるという考えもある.今回我々は子宮筋腫に対しGnRHアナログ投与中にRPLSを発症した症例を経験したので報告する.症例は44歳3回経妊.家族歴,既往歴に特記すべきことなし.平成14年11月6日下腹部腫瘤感と易疲労感を主訴に前医受診.重症貧血,子宮肉腫疑いにて11月8日当院紹介となる.初診時Hb5.1また子宮体部に12cm大の腫瘤を認め精査加療目的にて入院となる.入院後下腹部腫瘤は子宮筋腫と診断し貧血に関しては鉄剤の静注のみでHb8.1となり11月23日一時退院とし前医でのGnRHアナログの使用と鉄剤の投与による貧血改善後に手術予定とした.GnRHアナログ3回目使用直前に自宅にて痙攣発作を認め前医搬送となった.てんかん発作と診断され当院搬送.当院神経内科にて精査したところ脳MRIでの後頭葉中心の白質病変を認めRPLSと診断.降圧剤の内服開始し約1か月後,子宮筋腫の診断にて手術となった.現在脳神経症状も軽快している.今回術前に急激に貧血を改善させたためによるヘマトクリットの上昇が原因と考えられる.子宮筋腫の貧血改善につき考えさせられる症例であった.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(2)
182-182, 2003
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