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第105回学術集会(平成15年6月8日)
【一般演題】
感染症(1) 当院における過去6年間の骨盤内膿瘍の検討
田中 佐和子, 小泉 邦博, 金田 容秀, 島 絵美里, 小堀 宏之, 淡路 正則, 長沢 敢, 山本 勉
越谷市立病院産婦人科
骨盤内膿瘍は抗生剤等の保存的治療では改善しないことが多く,やむなく外科的治療を行うが癒着もひどいことが多くやっかいな疾患である.今回,われわれは平成9年1月から平成14年12月までの過去6年間に26例の骨盤内膿瘍を経験し,その臨床象について検討し以下の結果を得たので報告する.1.年齢は40歳代(50%),50歳代(23.1%)が多かった.2.妊娠歴では2経産のものが多かったが,妊娠歴のないもの(19.2%)も比較的多かった.3.主訴は下腹痛のみ(46.2%),下腹痛に発熱を伴うもの(34.6%)が多かった.4.術前治療は抗生剤を投与したが改善せず1〜2週間後に開腹手術に至ったもの(53.8%)が多かった.5.術後の確定診断では,付属器膿瘍(42.3%)の他に卵巣皮様嚢腫,子宮内膜症,卵巣癌合併のものも見られた.6.手術術式は単純子宮全摘兼付属器切除術(46.2%)が多く行われたが,妊孕性を必要とする若年者に対しては付属器切除が行われることが多かった.7.膿瘍からの検出菌は,E. coli,Bacteroides等が多かった.8.手術を必要としない骨盤内感染症の入院患者における子宮頚管からのクラミジア検出率が31.7%(32/101)であったのに対し,膿瘍患者では0.67%(1/15)と低かった.骨盤内膿瘍では,化学療法のみでは治療しがたく,折をみて手術療法に切りかえるべきであると思われた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(2)
183-183, 2003
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