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第105回学術集会(平成15年6月8日)
【一般演題】
感染症(2) スーパー抗原応答性T細胞の検出により発症早期に診断しえたTSS
吉田 真弓, 松田 義雄, 岡野 浩哉, 橋口 和生, 太田 博明
東京女子医科大学産婦人科
MRSAによる産褥熱では,Toxic Shock Syndrome(TSS)を呈しseptic shock,DIC,MOF,産褥期母体死亡などを引き起こすことがある.TSSは,黄色ブドウ球菌が産生するスーパー抗原性外毒素TSS toxin-1(TSST-1)が,TSST-1応答性Vβ2陽性T細胞を特異的に活性化し,大量のサイトカインを産生することにより発症すると考えられている.今回,我々は発症早期に末梢血T細胞中のVβ2陽性細胞の増加を検出しえたためTSSと診断し,適切な治療を行いえた症例を経験した.症例は33歳3経産.近医にて正常分娩,産褥4日目に母児ともに退院.同7日目39.6℃に熱発し当科紹介初診,産褥熱疑いにて入院.入院時の臨床所見からMRSAによるTSSが強く疑われたが,落屑を認めず,Probable TSSの診断基準を満たすにとどまった.そこで末梢血T細胞中のVβ2細胞の割合を調べたところ,CD4陽性細胞中で49.3%(正常値9.8%),CD8陽性細胞中で42.3%(正常値6.4%)と正常の約5倍以上の増加を認めておりTSSと診断した.その後適切な抗生剤の選択と全身管理を行い産褥26日目治癒退院となった.産褥熱に遭遇した場合,本法により早期診断・治療が以後も可能で,本法の有用性が示唆される.同様な経過を辿った帝切後の一症例を加え,報告する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(2)
184-184, 2003
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