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第105回学術集会(平成15年6月8日)
【一般演題】
感染症(2) 当院におけるHIV感染者の現状
福田 友洋, 服部 里佳, 五味淵 秀人, 古澤 祐紀, 堀川 隆, 伊藤 めぐむ, 永松 あかり, 川野 由紀枝, 小石 麻子, 中村 幸夫, 箕浦 茂樹
国立国際医療センター研究所産婦人科
【目的】我が国においては女性HIV感染者はグローバリゼーションの進行と共に増加している.当院を受診した女性HIV感染者について婦人科疾患の特徴と,出産に至った症例より,母子感染予防の問題点を明確にする.【方法】エイズ治療開発センター及び産婦人科を受診した女性HIV感染者60例(うち妊娠例10例).婦人科スクリーニングは子宮頚部細胞診,頚管分泌物中のヒトパピローマウイルス(HPV),クラミジア抗原,膣分泌物培養を採取した.【結果】婦人科スクリーニングではクラミジア抗原陽性例2/40例,子宮頚部細胞診Class3a以上は13/55例,そのうちHPV陽性例6/6例,上皮内癌2例,子宮頚癌1例であった.妊娠受診者は10例(妊娠時のスクリーニングにてHIV陽性2例)であった.妊娠の継続に関しては,人工妊娠中絶3例,出産7例であった.出産例ではAZT単剤投与2例,HAART施行5例(妊娠前より開始していたもの3例),分娩様式は6例が予定帝切であり,1例は自宅にて破水したため経膣分娩であった.全症例,新生児への感染は認めなかった.Hb10g/dlとなるような新生児貧血は5例に認めた.【考察】HIV感染者は非感染者と比較しHPV陽性率が高く,子宮頚部細胞異形成例が多かった.HIV感染者は子宮頚癌の進行が早いと言われており,早期発見,定期的な検診が必要である.母子感染予防については抗HIV薬の選択や母体,新生児への影響,日本における分娩様式を検討していく必要がある.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(2)
185-185, 2003
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