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第105回学術集会(平成15年6月8日)

【一般演題】
感染症(2)
HIV陽性妊婦出産の経験


成智 美恵, 池田 和則, 大川 玲子
国立千葉病院産婦人科


 HIV感染妊娠例の増加に伴い,厚生省の研究グループによる症例の集積,解析がなされたため,ここ2,3年間で母子感染防止についての研究は急速な発展を遂げた.妊娠中の抗HIV療法はAZT単剤投与から多剤併用療法が頻用されるようになった.当院では2000年10月から2002年8月までの約3年間にHIV陽性妊婦3例の分娩を経験し,各々抗HIV療法と出産様式の異なる治療法を採用したのでここに報告する.(症例1)妊娠27週よりAZT単剤投与し,妊娠37週で帝王切開.(症例2)妊娠32週よりAZT,3TC,NFVによる多剤併用療法施行後,妊娠37週で帝王切開.(症例3)妊娠31週よりAZT,3TC,NFVによる多剤併用療法施行後,ウイルス量が少なかった(HIV-RNA 5.0×101コピー/ml未満)ため,本人の強い希望もあり,CDCのガイドラインに従い妊娠38週で経膣分娩施行.いずれの症例も分娩前,母体へのAZT静脈内投与,児に対しては出生直後より6週間AZT投与,母乳遮断した.症例1では生後24ヶ月でHIV陰性確認しフォロー終了とした.症例2では生後18ヶ月,症例3では生後5ヶ月時点で母子感染は認められていない.今後,国内でもHIV陽性妊婦の出産を経験する機会が増えると思われるが,今回のような経膣分娩という選択肢を含め個々の妊婦および児に対し最良の管理を行うため,知見の集積が望まれるものである.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(2) 186-186, 2003


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