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第105回学術集会(平成15年6月8日)

【一般演題】
その他の腫瘍(1)
バルトリン腺腺様嚢胞癌(Adenoid cystic carcinoma)の1例


村山 さつき, 鶴賀 哲史, 川名 有紀子, 中川 俊介, 久具 宏司, 堤  治, 武谷 雄二
東京大学産婦人科


 バルトリン腺癌は全外陰悪性腫瘍の約1%と稀な疾患である.今回我々が報告する症例は55歳,8回経妊2回経産で,外陰部腫瘤感を主訴に近医を受診し,バルトリン腺腫瘍と診断された.経過観察となるも,増大傾向があるため,右外陰腫瘍摘出術施行.病理にてバルトリン腺腺様嚢胞癌と診断され,断端陽性であるため,追加治療目的に当科紹介受診.画像診断上径2×1cm大の腫瘤の残存が疑われた.本疾患におけるリンパ節転移の重要性を考慮し,Sentinel lymphnode detectionを併用したwide local resectionおよびInguinal lymphadenectomyを施行した.Sentinel lymphnodeは浅鼠径節に存在し,迅速病理診断は陰性であった.腫瘍は直腸側に沿い,び漫性に進展しており,摘出断端は陽性であったため,CDDP,5-FUにて化学療法を施行した.腺様嚢胞癌は一般に唾液腺や乳腺に多く発生し,バルトリン腺に発生したものの報告は少ない.発育は緩徐であるが神経に沿って浸潤し,肺などを中心に血行性転移を来すことが知られている.手術療法はwide local resectionから広汎性外陰全摘出術まで文献により異なり,術後療法も確立していない.近年,Sentinel lymphnodeの同定と病理診断が,リンパ節転移の有無の推測に重要であることが多くの悪性腫瘍で示され,注目されている.本症例は,その同定を行った最初の報告例であり,その有用性が本疾患でも確認された.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(2) 187-187, 2003


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