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第105回学術集会(平成15年6月8日)
【一般演題】
その他の腫瘍(1) 腟原発悪性黒色腫の2例
馬場 洋介, 平野 由紀, 竹井 裕二, 大和田 倫孝, 和田 智明, 高野 貴弘, 町田 静生, 泉 章夫, 鈴木 光明
自治医科大学産婦人科
【はじめに】腟原発悪性黒色腫は稀な疾患であり,全悪性黒色種の1%以下,全膣悪性腫瘍の3%以下と報告されている.我々は,最近2例の膣原発悪性黒色種を経験したので報告する. 【症例】(1)75才,2経妊2経産.2002年6月,性器出血を主訴に近医を受診した.膣粘膜に表面不整な腫瘤を認め,また擦過細胞診で,悪性腫瘍が疑われたため8月当科を紹介された.内診では,腟右前壁,下1/3の部位に有茎性で小指頭大の易出血性の腫瘤が認められた.細胞診および組織診により悪性黒色腫と診断された.腫瘍は膣に限局しており,9月腟全摘および鼠径リンパ節郭清が施行された.腫瘍細胞はN/C比が大で,上皮の基底層を中心にびまん性に広く浸潤しており,脈管侵襲が著明であった.腫瘍細胞の一部にメラニン色素を含む細胞が確認された.またS-100蛋白陽性,HMB-45蛋白陽性であった.リンパ節転移はみられなかった.pT4bN0M0,UICC分類ではIIC期であった.追加療法として,DAV-F(ダカルバシン,ニドラン,オンコビン,インターフェロンβ)療法を開始した.2003年2月現在,再発再燃徴候はみられていない. (2)75才,2経妊2経産.33才時子宮筋腫のため子宮全摘施行.2002年10月,性器出血を主訴に近医を受診した.膣壁に1-2cm大のポリープ状腫瘤が数個みられたため当科を紹介された.精査により,肺転移を伴った膣原発悪性黒色腫と診断された.T4bN3M1c,IV期であり,現在DAV-F療法を行っている.ポリープ状発育を示した膣原発悪性黒色腫2例を報告した.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(2)
188-188, 2003
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