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第105回学術集会(平成15年6月8日)

【一般演題】
その他の腫瘍(2)
右心室に達する血管内子宮筋腫の1期的切除に成功した1例


内田 浩1), 服部 純尚2), 村越 行高1), 須藤 慎介1), 細川 知俊1), 中田 浩一1), 飯田 俊彦1)
済生会宇都宮病院産婦人科1), 慶應義塾大学産婦人科2)


 血管内に侵入し増殖進展していく子宮筋腫は,血管内平滑筋腫と称される稀な疾患である.腫瘍が心臓内に達している場合,高血圧症,血栓症,不整脈の原因となることがあり,腫瘍摘出術の対象となる.摘出術は心臓大血管内と子宮とで2期的に行われることが多い.今回我々は1期的な腫瘍摘出を行い得た症例を経験した.【症例】51歳女性,1経妊1経産.既往歴・家族歴に特記事項なし.【受診経緯】右腰痛を主訴に近医受診.腹部超音波断層検査にて子宮筋腫指摘される.息切れの訴えと高血圧から心エコーを施行した際に心臓腫瘍が認められたため,当院へ精査加療目的に紹介された.【経過】当院において施行した超音波断層検査(経腹,経食道,心臓),MRI検査,血管造影検査等の一連の検査より,子宮筋腫と考えられる腫瘤および同部より右内腸骨静脈,総腸骨静脈,下大静脈を経て右室に達する血管内腫瘍を認め,血管内平滑筋腫と診断した.高血圧症は内科的に加療され,心機能評価において手術可能と判断し,心臓外科および当科合同で開胸,開腹による1期的腫瘍切除術(人工心肺装置を用いた心臓血管内腫瘍,子宮合併切除)を施行した.術後第2病日にはICUから婦人科病棟へ転棟.術後経過に特に問題は認めず,高血圧症も改善された.術後の各種画像検査において残存腫瘍は認めず,退院.術後6ヶ月の時点でも問題点は認めていない.【結論】各種画像診断により正確な増殖ルートを推定し得た血管内平滑筋腫に対して,1期的な摘出術に成功した.本疾患に対する有効な画像診断,本症例の術式について報告する.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(2) 189-189, 2003


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