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第105回学術集会(平成15年6月8日)
【一般演題】
その他の腫瘍(2) 遷延する下腹部痛に対し診断的腹腔鏡下手術が有効であった1症例
今井 文晴, 糸賀 俊一, 栗原 務
利根中央病院産婦人科
<緒言>女性の下腹部痛を来す様々な疾患を,正確に診断することは困難であり,下腹部痛を認める女性の約半数が正確な診断を受けていないとの報告もある.こういった症例に対し診断的腹腔鏡下手術が有用であるという報告がなされている.今回我々も下腹部痛にて当初骨盤腹膜炎が疑われたが,診断的腹腔鏡下手術にて婦人科的疾患が否定された症例を経験したので報告する.<症例>症例は39歳,3経妊3経産.平成14年7月持続する右下腹部痛を主訴にて当科受診.経膣超音波にて子宮右側に約φ4cm大のlow echoic areaを認め,同部位に圧痛を伴う腫瘤を認めた.血液検査上炎症所見もあり,筋腫又は右附属器の炎症を疑い抗生剤内服開始し,外来followとした.その後一時症状軽快するも,再度右下腹部痛出現し,12日後入院.入院後,抗生剤投与等にても症状軽快しないため,消化器疾患疑いCT,MRI施行及び外科コンサルト等するも,明確な診断がつかない状態であった.このため,入院後9日目に診断的腹腔鏡下手術施行.腹腔内所見では,子宮,両附属器とも異常所見認めず,回盲部に大網の集簇認め回盲部腫瘍が最も疑われた.その後外科にて開腹手術となり,回盲部腫瘍(well differentiated adenocarcinoma)と最終診断された.<結語>診断的腹腔鏡下手術は,身体所見及び画像所見等にて明確に診断されない今回のような症例の診断及び治療に有用である.また開腹手術等に比して侵襲も少なく,こういった点でも実用的価値は高いと考えられる.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(2)
190-190, 2003
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