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<< 学会誌へ戻る 尿路系に波及する子宮内膜症の約半数は膀胱に認められるが，その頻度は内膜症全体の約1％にすぎず極めて稀な疾患である．今回我々は無症状で発見された膀胱子宮内膜症を経験したので報告する．症例は39歳の未経妊婦，29歳時に結婚．月経周期は30日型，順，月経過多・月経痛・血尿・排尿痛はいずれも認められなかった．検診にて子宮筋腫を指摘され当科を初診した．内診上子宮はやや腫大しているものの明らかな子宮筋腫は触知しなかった．しかし前腟壁上方の膀胱に相当する部分に硬い腫瘤を触知した．経腟超音波検査を施行したところ膀胱内に突出する凹凸不整な径約3cmの腫瘤を認めたため，膀胱腫瘍を疑い泌尿器科に精査を依頼した．膀胱鏡検査では後壁頂部に突出する白色の腫瘤が確認され，易出血性から膀胱癌を疑い膀胱鏡下腫瘍切除術が施行された．可及的に腫瘍切除を行ない，チョコレート様の内容液の漏出が確認された．病理診断にて膀胱子宮内膜症の診断を得たため，術後は当科でGnRHアナログによる治療を開始し現在治療中である．マーカーとしてのCA125は術前320U/mlに上昇していたが，GnRHアナログを2回投与した段階で40U/mlに低下している．子宮内膜症が膀胱にまで及ぶ場合，その約7割は婦人科手術既往があり，手術による播種がその原因といわれている．また膀胱粘膜面にまで病変が及んだ場合，月経に同期した血尿，また排尿障害が認められることが多い．しかし本症例では，手術既往も症状もなく，尿検査にても赤血球は存在しなかった稀なケースであると考えられた．本症例の臨床経過に加え本疾患に対する治療法等の文献的考察をあわせて報告する． 日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(2) 194-194, 2003 |
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