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第105回学術集会(平成15年6月8日)

【一般演題】
内膜症・その他
不妊患者における卵巣嚢腫の特徴


西山 幸江, 佐藤 孝道, 栗下 昌弘, 板坂 俊典, 塩田 恭子, 斉藤 理恵, 酒見 智子, 渡辺 浩二, 真島 洋子, 藤田 聡子
聖路加国際病院産婦人科


 [目的]不妊患者にみられる卵巣嚢腫の特徴について明らかにすることを目的とした.[方法]過去2年間の当科で腹腔鏡下卵巣嚢腫核出術を施行した78例を対象とし,不妊の主訴がある群(A群:17人)と不妊の主訴がない群(既婚,未婚を含む,B群:61人)の2群に分けて,両群の背景や嚢腫の性状について比較検討した.[結果]1)嚢腫の内訳は,A群ではチョコレート嚢腫94%,漿液性嚢胞6%,B群では,チョコレート嚢腫43%,成熟奇形腫34%,漿液性腺腫13%,粘液性腺腫4.8%,その他6.5%であった.特に成熟奇形腫はB群中34%に認められるのに対し,A群中には認められなかった.2)次に両群のチョコレート嚢腫について,両群間に差がないかどうかを検討した.その結果,年齢はA群:33.9±4.43歳(M±SD,以下同じ),B群:31.8±3.86歳(P=0.12),術前のCA125値はA群:64.2±42.8U/ml,B群:140.3±264.1U/ml(P=0.375),最大嚢腫径はA群:44.3±10.7mm,B群:60.1±20.5mm(P=0.01)であった.[考察]1)A群では成熟奇形腫の頻度が有意に少なく,成熟奇形腫が不妊に関わる可能性が低く,一方チョコレート嚢腫の頻度はA群に高く,不妊への強い関与が示唆された.2)B群のチョコレート嚢腫径はA群と比較して有意に大きく,CA125も高値の傾向が認められた.これらは,両群でそれぞれ手術に対する医師や患者の姿勢が異なり,両群間でチョコレート嚢腫の自然史に差異がある可能性を示唆していると考えられた.[結論]不妊には成熟奇形腫の関与は少ないが,チョコレート嚢腫は大きく関与することが示された.また両群ではチョコレート嚢腫への関係者の姿勢とともに自然史が異なる可能性が考えられた.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(2) 194-194, 2003


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