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第105回学術集会(平成15年6月8日)
【一般演題】
血栓塞栓症 当科で経験した過去12年間の妊娠産褥期における深部静脈血栓症,肺塞栓症に関する検討
大橋 涼太1), 杉村 基2), 河村 隆一2), 須床 和恵2), 金山 尚裕1)
浜松医科大学産婦人科1), 浜松医科大学周産母子センター2)
【目的】近年日本において肺塞栓症(PTE)による死亡が増加している(12年間で約2.8倍:厚生労働省人口動態統計より).産婦人科領域では特に帝王切開分娩後の深部静脈血栓症(DVT),肺塞栓症の増加が報告されている.今回われわれは浜松医科大学における最近12年間(1991〜2002)の妊娠産褥期発症の症候性DVTについて検討した【方法】1991年から2002年までの12年間で浜松医科大学産婦人科にて発症した妊娠産褥期の症候性DVTについて発症時期,患者年齢,血栓性素因の有無,発症時BMIの疫学データおよび発症時白血球数,ヘモグロビン値,血小板数,ヘマトクリット値,TAT値,FDP-D dimer値の血液検査データなどについて検討した.【成績】1991年から2002年までの12年間に症候性DVTは12例発症した.最近5年間に12例中11例が発症していた.発症頻度は12年間の総分娩数に対しては0.38%で最近5年では0.93%に上昇していた.帝王切開分娩では12年間で0.65%,最近5年では1.1%と経膣分娩後より高い発症率であり近年上昇していることがわかった.データを検討すると疫学的には母体高年齢,肥満などがリスクファクターとしてあげられ,先天的後天的血栓性素因を有した症例が5例あった.血液データでは従来指摘されているような血液濃縮はみられずTAT値,FDP-D dimer値などは発症後時間が経過してから上昇している傾向がみられた.【結論】肥満や母体の高年齢は疫学的なリスクファクターと考えられた.血液凝固学的なDVT/PTEの発症予知および早期診断のための指標が今後必要になると思われた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(2)
196-196, 2003
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