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第105回学術集会(平成15年6月8日)
【一般演題】
血栓塞栓症 下大静脈フィルターを挿入し帝王切開術後に血栓除去術を行った妊娠32週発症の深部静脈血栓症の一例
栃木 美寿紀, 田村 正明, 清水 八尋, 永井 宣久, 吉永 陽樹, 正岡 直樹, 栃木 明人, 山本 樹生
日本大学産婦人科
妊娠・産褥は深部静脈血栓症(DVT)発症のリスクが高く,予防,診断,治療は重要である.今回,妊娠32週で発症した下肢DVT症例を経験したので報告する.症例は32歳,2g0p.他院妊婦健診で異常無く,妊娠32週3日頃より左下肢痛自覚,32週6日疼痛増強と左下肢浮腫で当院紹介.入院時,左下肢腫張があり,下肢冷感・把握痛は無かった.Homans徴候陰性.WBC 11900,Hb 11.2g/dl,Plt 33.4万,CRP 0.25mg/dl,D-Dダイマー5.5μg/ml,FDP 7.8μg/ml,TAT複合体13.5ng/ml,抗核抗体,抗DNA抗体,LACは陰性,抗カルジオリピン抗体24U/ml(陽性).プロテインC 74%,プロテインS 87%.超音波検査で左大腿静脈血流無く,MRVenographyで左大腿静脈と総腸骨静脈の狭小化を認めた.DVTの診断でヘパリン投与,弾性ストッキング装着開始.妊娠33週,血栓形成後早期であり,一時的下大静脈フィルターと分娩後早期の血栓除去とした.リンデロン投与,妊娠33週4日帝王切開術施行.児は女児,1757g,Apgar 7点.母体は術後3日静脈造影,血栓除去術施行しウロキナーゼ投与開始.術後8日,再度血栓除去,総腸骨静脈圧迫部位にステント留置後下大静脈フィルター抜去.以後ワーファリン投与開始し術後18日退院.まとめ:抗リン脂質抗体症候群の関与と静脈圧迫によると考えられた妊娠32週発症のDVT症例を経験した.本症は妊娠の各時期で発症するので,リスク因子の検討と妊娠時期に応じた処置が重要である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(2)
196-196, 2003
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