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第105回学術集会(平成15年6月8日)

【一般演題】
血栓塞栓症
当科における肺血栓塞栓症,深部静脈血栓症の症例と予防策


東郷 敦子, 安井 功, 渡辺 未央, 宮本 壮, 村上 優, 牧野 恒久
東海大学母子生育学系 産婦人科学部門


 肺血栓塞栓症,深部静脈血栓症は婦人科領域においても認識が必要な疾患である.その認識も広がりつつあるが,本邦での予防法,治療などにおける大規模な検討は未だ行われていない.当院においても,過去2年間に肺血栓塞栓症を5例経験した.最近経験した症例は,59歳,1経妊1経産,検診にて腹部腫瘤を指摘され,精査にて巨大子宮筋腫が疑われた.術前の評価で血栓は認められなかったが,血液検査でHb 19.1g/dl,Ht 59.0%と著明な血液濃縮像を認め,術前より輸液を開始したが改善傾向を認めず,一時的下大静脈フィルターを挿入し,腹式単純子宮全摘出術および両側付属器切除術を施行した.術後,低分子ヘパリン一日3500単位を点滴静注したところ,術後一日目に創部からの出血を認めたため低分子ヘパリンは中止した.術後6日目の造影CTにて両側外腸骨静脈,左卵巣静脈に血栓を認めたため,一時的下大静脈フィルターは抜去せず,抗凝固療法,ヘパリン一日15000単位を開始したが,術後14日目の造影CTでは血栓の増大を認めたため,下大静脈フィルターは永久留置とした.当科における婦人科疾患の肺血栓塞栓症,深部静脈血栓症のハイリスクグループへの対応として,1)弾性ストッキングの着用,間欠的空気加圧式ポンプの使用,2)凝固・線溶系マーカー(TAT,PIC)の測定,3)腹部〜足部までの造影CTの施行を行い,術前より積極的に血栓の予防に努めている.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(2) 198-198, 2003


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