|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第105回学術集会(平成15年6月8日)
【一般演題】
産科統計(2) 当科における腎移植後の妊娠・分娩10症例の検討
河村水主川純隆一1), 水主川 純1), 大橋 涼太1), 須床 和恵1), 西口 富三1), 杉村 基1), 小林 隆夫2), 金山 尚裕2), 牛山 知己3), 鈴木 和雄3), 藤田 公生3)
浜松医科大学周産期センター1), 浜松医科大学産婦人科2), 浜松医科大学泌尿器科3)
(目的)腎移植後の妊娠・分娩は腎機能の低下や妊娠中毒症,早産を発症するハイリスク妊娠である.今回,当院で経験した腎移植後患者の妊娠・分娩10症例を基にその問題点,周産期管理について検討した.(対象)1976年から2002年までに当院で妊娠分娩管理した10症例を対象とし,周産期管理における問題点を検討するとともに,腎機能の推移,児の予後についても検討した.(結果)妊娠した腎移植後患者は10例(CD 4例LD6例),14妊娠12分娩であった.腎移植後から妊娠までの平均期間は63.7ヶ月で,7例は妊娠前から腎機能の低下,高血圧,蛋白尿を認めた.平均分娩週数は33.8週で早産例は11例で約92%であった.重症妊娠中毒症を発症したものは7例,妊娠中に腎機能の増悪したものは5例であった.分娩様式は9例が帝王切開による分娩で適応は高血圧または蛋白尿の増悪,胎児仮死,肝機能障害などであった.2例が経膣分娩によるものであった.新生児の予後は新生児死亡例が1例(双胎:26週)でSFDは13児中1例(8%)であった.その他の児の予後は良好で体表奇形などの異常も認めなかった.分娩後に透析再導入となった症例は5例,そのうち3例は分娩後1〜4年以内に再透析となっており妊娠中より腎機能の悪化を認めていた.(考察)腎移植後の妊娠・分娩は妊娠中の母体腎機能の悪化や妊娠中毒症症状により早産になる傾向が高い.これを予防するためには妊娠前だけでなく妊娠中も腎機能の評価・管理を厳重に行うことが重要であると思われる.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(2)
204-204, 2003
|