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第105回学術集会(平成15年6月8日)

【一般演題】
妊娠・分娩(1)
妊娠・分娩中に頭蓋内出血を発症した2例


笹 秀典1), 斉藤 恵子2), 伊香 加納子2), 村上 充剛2), 高橋 宏典3), 松田 秀雄2), 古谷 健一2), 菊池 義公2)
防衛医科大学校分娩部1), 防衛医科大学校産婦人科2), 自衛隊中央病院産婦人科3)


 妊娠・分娩中の頭蓋内出血は,多くは脳動脈瘤,脳動静脈奇形,妊娠中毒症が原因であり,くも膜下出血や脳室内出血を来す.今回,妊娠・分娩中に脳内出血を来した1例と急性硬膜外血腫を発症した1例を経験したので報告する.症例1は30才,0妊0産,妊娠21週5日,自宅で意識消失し搬送入院.右被殻出血の診断にて脳外科で穿頭血腫除去施行.基礎疾患としてもやもや病が判明した.術後順調に回復し,発語障害,左片麻痺が残存.妊娠36週5日に予定帝王切開,2355g女児,アプガースコア1分値7点,5分値9点.術後ICUで管理し術後22日で退院.症例2は,31才0妊0産,妊娠41週2日,分娩遷延,妊娠中毒症,頭痛にて当院紹介入院.入院時,血圧162/110mmHg,子宮口7〜8cm開大,既破水,胎児心音良好,意識レベルは呼掛けにやっと応答.意識レベル徐々に低下し,右上肢に痙縮運動が認められ,左右瞳孔不同を呈した.頭部CTで左頭頂部〜左側頭部に広範な硬膜外血腫が認められ,緊急開頭血腫除去術施行.出血点は頭頂部付近と思われた.術中胎児心音に遷延徐脈が出現し,途中から併行して帝王切開施行.全出血量は4800g(羊水込み)で,MAP10単位輸血した.児は2180g男児,アプガースコア1分値1点,5分値5点で,sleepingであったが,自発呼吸あり順調に経過.母体も術直後に血小板数が7.3万/mm3と低下したが,順調に回復し,術後12日目に母児ともに退院.退院時,失書,失算など不全型のゲルストマン症候群を残した.妊娠・分娩中に神経症状を来した場合,頭蓋内出血との鑑別が重要である.妊娠中の頭蓋内出血に対する脳神経外科的手術の適応は,非妊娠時の女性と同様である.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(2) 206-206, 2003


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