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第105回学術集会(平成15年6月8日)

【一般演題】
妊娠・分娩(1)
妊娠に伴って発症した慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の1例


武井 美城1), 春木 篤1), 佐藤 綾1), 岡本 真知1), 井畑 穣1), 石川 浩史1), 安藤 紀子1), 高橋 恒男1), 平原 史樹2)
横浜市立大学母子医療センター1), 横浜市立大学産婦人科2)


 妊娠・出産で発病,または増悪した慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(以下CIDP)についてこれまでに十数例の報告がある.発症時期は多くは妊娠中期〜後期で,妊娠の進行とともに症状が増悪し,妊娠の終了により症状が改善している症例が多い.今回我々は妊娠中に発症したCIDPを経験したので若干の文献的考察を含めて報告する.症例は39歳1G0P.妊娠20週頃から関節痛,全身倦怠感,易疲労感,食欲低下を認め,徐々に増悪し,数十メートルの歩行でも呼吸困難出現,日常生活も困難となったため,平成14年5月29日(28週6日)前医に入院.手根管症候群,過換気症候群と診断されたが,症状改善せず,6月20日(32週0日)当センターへ転院となった.転院後再度全身検索を施行した.また入院時から羊水過少を認めており,前医から使用していたNSAIDsの使用を中止し羊水量の増加を認めた.電気生理学的検査を行い末梢神経伝達速度の低下を認め,症状,経過からCIDPであると診断し,7月16日(35週5日)からステロイドの内服を開始した.ステロイド内服開始2週間後の筋電図検査では神経伝達速度の改善を認めており,自覚症状も改善傾向がみられた.この間,児の発育は順調であった.8月4日(38週3日)前期破水後自然陣発し,2754gの女児(AFD)をApgar score 9/10点で正常分娩した.産褥期に症状の増悪を認めることもなく,産後16日目に退院した.産後1カ月健診ではまだ手足のしびれが残るものの日常生活,育児も順調に行われていた.現在産後7ヶ月であるが,当センター神経内科通院しており,ステロイド減量中である.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(2) 208-208, 2003


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