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第105回学術集会(平成15年6月8日)
【一般演題】
妊娠・分娩(2) 一時ペーシング下に分娩管理を行なった完全房室ブロック合併妊娠の一例
山口 昌子1), 三浦 敦1), 川瀬 里衣子1), 里見 操緒1), 米山 芳雄1), 朝倉 啓文1), 竹下 俊行1), 荒木 勤1), 小川 俊一2)
日本医科大学産婦人科1), 日本医科大学小児科2)
完全房室ブロックは,房室伝導系における興奮伝導の途絶と定義され,若年女性には稀な疾患であるとされている.従来は妊娠初期に母体適応で人工妊娠中絶されるものも多く認められたようであるが,近年は超音波断層法,ドップラー法の技術の進歩に伴い心機能の評価が容易かつ正確に行なわれ,ペースメーカーを使用することにより分娩にいたった症例も散見されるようになってきた.今回我々は,小児期より完全房室ブロックの診断で通院中に妊娠し,分娩時に一時的にペーシングカテーテルを挿入して管理を行い,経腟分娩で生児を得た症例を経験したので報告する.症例は30歳0回経妊0回経産,先天性完全房室ブロックの診断で小児期よりフォローアップを受けていた.心不全徴候等は認められず(NYHA I度),ペースメーカーの埋め込みは行なわれていなかった.前医にて妊娠33週まで管理後,33週2日に当科初診,初診時心拍数40台で心電図上高度房室ブロックを認めた.その後の妊娠経過中は小児科の協力のもと心機能評価を行いながら外来通院とし,母体および胎児とも順調に経過した.分娩様式は他の心疾患合併妊娠にならい経腟分娩とし,誘発による計画分娩目的に妊娠38週0日に入院,小児科によりペーシングカテーテルを挿入した上で翌日より分娩誘発を行なった.妊娠38週2日に陣痛が発来し,分娩第二期短縮目的で吸引分娩を行なって2858gの女児をApgar score9点で出産した.なお,分娩中にペースメーカーの作動は見られず,又児の心拍数および心機能は特に異常は認めなかった.完全房室ブロック合併妊娠について若干の文献的考察を加え報告する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(2)
208-208, 2003
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