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第105回学術集会(平成15年6月8日)

【一般演題】
妊娠・分娩(2)
母児ともに救命しえた妊娠32週にて発症した胸部大動脈瘤破裂の一症例


山中 智哉1), 河野 照子1), 深田 幸仁1), 星 和彦2)
国立甲府病院産婦人科1), 山梨大学産婦人科2)


 <症例>M. M殿,25歳,0経妊0経産.既往歴,家族歴に特記すべき事項なし.<妊娠経過>2001年12月14日を最終月経初日として妊娠成立.妊娠9週より当院にて妊婦健診をおこなっていたが,明らかな異常なく経過していた.2002年7月30日(妊娠32週4日),突然,強い胸背部痛が出現し,救急車にて来院.母体のショック状態に伴い,胎児心拍数の低下を認めたため,緊急帝王切開術施行.児は体重1712g,Apgar 1分後1点,5分後2点にて,出生後直ちに当院NICU管理となった.母体は術後,胸部レントゲンおよびCTにて左血胸が疑われたため,トロッカーカテーテルを留置.輸血等の処置を行うも,カテーテルからの出血コントロールが困難なため,近医救急部へ救急搬送.大動脈瘤破裂の診断にて緊急手術(大動脈瘤切除+パッチ補填術)が施行された.術後10日目に左下肢深部静脈血栓症を発症し,抗凝固療法が行われた以外,術後経過は順調にて,8月25日退院となる.児は現在もNICUにて管理中である.<考察>基礎疾患を伴わない若年女性において,特発性大動脈瘤破裂は非常にまれで,その予測は非常に困難である.本症例においては,妊娠とそれに伴う母体の循環動態の変化が,その一因となった可能性がある.<結語>妊娠後期に特発性大動脈瘤破裂を発症した極めてまれな症例を経験し,迅速な対応によって,母児ともに救命することができた.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(2) 209-209, 2003


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