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第105回学術集会(平成15年6月8日)

【一般演題】
妊娠・分娩(3)
子宮峡部に胎嚢像が認められた頚管妊娠の1例


市川 剛, 安江 正憲, 久野 宗一郎, 吉永 陽樹, 宮川 康司, 正岡 直樹, 栃木 明人, 山本 樹生
日本大学附属板橋病院産婦人科


 頚管妊娠は子宮外妊娠の中でも稀である.現在では超音波検査などによる早期発見が容易となり,保存療法が可能となってきた.また,いわゆる妊娠部位が頚部に限局した症例だけでなく,峡部におよぶ症例も多く含まれていると考えられる.今回我々は妊娠初期に峡部に胎嚢像を認め,頚管妊娠と診断し保存的に治療した症例を経験したので報告する.症例は22歳の1回経妊0回経産(人工妊娠中絶)で,妊娠8週に他院から頚管妊娠の疑いで紹介受診となった.内診で子宮頚部腫大はなく,頚管に胎嚢像を認めた.挙児希望があり,妊娠部位が頚管に限局していなかったため2週間経過観察したが妊娠10週に胎児心拍の消失を確認した.しかし,超音波カラードプラでは峡部にあるGS周囲に豊富な血流を,MRIでは絨毛組織の峡部・頚管部筋層内侵入を認めたため,メソトレキセート(20mgi.m.×5日間を1クールとし)による化学療法を選択し,合計4クール施行した.3クール終了時点で血中β-hCGは陰性化したが突然子宮出血(約500ml)が出現し,ガーゼ圧迫止血で対処した.4クール終了後に妊娠領域の著しい縮小と血流の消失を確認し,退院外来通院とした.本症例のように頚管妊娠といわれるもののなかには峡部と一体となったものがあり,着床部位診断には超音波検査やMRIが,治療評価にはhCGの推移のみならず超音波カラードプラによる血流の観察が有用であると思われた.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(2) 211-211, 2003


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