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第105回学術集会(平成15年6月8日)
【一般演題】
妊娠・分娩(3) 破裂前に診断が可能であった副角妊娠の一例
中村 学, 水竹 佐知子, 児玉 美央子, 田口 宏中, 富田 初男, 安藤 昭彦
大宮赤十字病院(平成15年4月より, さいたま赤十字病院に改名)産婦人科
双角単頸子宮の双角のうち,一方の角が発育不完全なものを副角というが,この副角腔に妊娠したものが副角妊娠である.副角妊娠の頻度は分娩の0.007〜0.008%と極めて稀である.副角妊娠は破裂や胎内死亡の頻度が高いと言われている.今回我々は副角妊娠での子宮内胎児死亡を破裂前に診断でき,治療できた症例を経験したのでここに報告する.症例は29才,0妊0産.最終月経平成14年11月23日より7日間.近医にて妊娠確認.双角子宮の左側妊娠と診断を受けていた.分娩予定日は平成15年8月30日と言われていた.2月7日,今後の里帰り分娩を考え,実家近くの当院へ受診.受診時,内診では子宮は正常やや大.特に圧痛は認めなかった.超音波検査にて,子宮左側上方に胎嚢を認めた.胎嚢内に胎児像8mm認めるも,胎児心拍動は認めなかった.胎嚢を含む腫瘤は62mm×44mmで子宮との連続性がはっきりせず,腫瘤自体には内膜線が認められず,胎嚢外側の壁も薄かった.双角子宮というより,間質部妊娠,副角妊娠あるいは卵管妊娠が疑われた.同日患者の同意の上,妊娠部位の確定診断のため全身麻酔下で腹腔鏡施行.腹腔内を観察するに,子宮本体は正常大.その左側上方に表面に多数の蛇行する血管が見られる超胡桃大の柔軟な腫瘤を認めた.腫瘤は子宮と連続しており,左側卵管と円靱帯はその腫瘤から出ていた.左副角妊娠と診断.そのまま開腹手術に移行し,副角切除を施行した.妊娠黄体がどちらの卵巣にあるかは不明であった.摘出した副角はゾンデでは主角との連続性は明らかでなかった.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(2)
212-212, 2003
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