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第105回学術集会(平成15年6月8日)
【一般演題】
妊娠・分娩(4) 羊水過多,塩酸リトドリンによる横紋筋融解症を契機に診断された筋緊張性ジストロフィー症合併妊娠の1例
片山 佳代1), 武井 美城1), 梅津 信子1), 野村 可之1), 岡本 真知1), 細川 真理子1), 春木 篤1), 石川 浩史1), 安藤 紀子1), 高橋 恒男1), 平原 史樹2)
横浜市立大学母子医療センター1), 横浜市立大学産婦人科2)
筋緊張性ジストロフィー症(以下MD)は表現促進現象を特徴とする常染色体優性遺伝形式をとる遺伝性疾患である.母親が軽症でMDと診断されていない場合もあり,出生後floppy infantとして初めて発見されることもある.今回我々は羊水過多,塩酸リトドリンによる横紋筋融解症から母児のMDが診断された症例を経験したので報告する.症例:36歳 2G2P(第1子,第2子10ヶ月正常分娩),既往歴:29歳時白内障手術家族歴:母Romano-Ward syndrome,父MD疑い,姉Romano-Ward syndrome・MD経過:妊娠36週の健診まで特に異常なく経過.平成14年10月2日(妊娠36週0日)切迫早産の診断で前医に入院し,塩酸リトドリンの点滴を開始.羊水過多,IUGRを認め翌日当センターへ搬送となった.検査所見ではGOT,GPT,CK,ミオグロビンの上昇を認め,塩酸リトドリンによる横紋筋融解症と考え,塩酸リトドリンを中止.検査所見は徐々に改善した.また母体は神経学的所見から,筋緊張性ジストロフィー症と診断した.患者,夫へ先天性MDの可能性を説明したが,出生前診断は希望せず出生後精査していく方針となった.入院中3回の羊水穿刺(計3000ml)を施行.38週4日1920gの男児(light for dates infant)を正常分娩した.新生児はApgar score 3/7点(1分後/5分後),floppy infantであった.NICU入院し挿管管理となったが,日齢31には抜管,67日目退院した.児の遺伝子検査により,CTG反復配列の増幅(約1500回)を認めた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(2)
213-213, 2003
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